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AIで受精卵を診断して着床率を上げる?アメリカの研究がすごい

2019年09月14日

近年、AIは様々な分野で活用されており、目覚ましい発展を遂げています。特に、機械学習アルゴリズムのひとつであるニューラルネットワークを発展させたディープラーニングを用いたAI開発は、様々な分野で活発に行われていますが、医療分野も例外ではありません。例えば、網膜眼底画像を分析することで、糖尿病患者の失明リスクや心血管疾患のリスクを診断するAIや、患者の問診情報から予測される病名を提示するAIなどが登場しています。このような医療分野でのAIの活用は、避妊治療の分野でも研究されています。

コーネル大学の科学者チームは、Googleのディープラーニングアルゴリズムに受精卵の判定方法を学習させることで、着床の可能性が高い受精卵を診断するAIを発表しました。日本語でコウノトリを意味するSTORKと名付けられたAIは、避妊治療における体外受精に存在する問題を解決することが期待されています。

通常、体外受精では、まず子どもを授かりたいと望む男女の体内から精子と卵子を取り出して、体外で受精させることで受精卵を作ります。そして、受精卵が胚になるまで培養した後に、胚を女性の子宮に移植することで妊娠を目指しますが、移植した胚が着床する確率は胚の質に左右されるため、良質な胚を選定できるかが重要です。

女性の子宮に移植する胚の選定は、胚培養士という専門家が顕微鏡でひとつひとつの胚の形状をチェックしながら、点数化することで行われます。しかし、胚の評価は胚培養士の主観に頼っており、経験やスキルに大きく左右されることが問題とされており、また胚培養士の育成には莫大な時間を要することも課題のひとつです。

コーネル大学の研究によって開発されたSTORKは、これらの問題を解決する糸口になる可能性を秘めています。STORKは、ニューラルネットワークを発展させたGoogleのディープラーニングアルゴリズムを利用しており、受精してから110時間後に撮影された12,000枚の胚画像と、同じ画像を見せた時の胚培養士の評価をベースに開発されました。学習の結果、STORKは胚の着床率を、良い・適切・可能性が低いの3段階で判別可能となり、その正解率は約95.7%であると報告されています。

STORKの実用化には未だに課題が多いのものの、将来的に実用化が可能となれば、培養士のスキルに左右される胚の選定が容易となることや、体外受精の成功率を向上させるために複数の胚を移植するといった行為が不要になると言われています。

STORKが本当に実用化できるかは分かりませんが、実用化されることになれば、子どもを望む人々にとって明るいニュースになることでしょう。